歯槽骨を再生!吸収する大きな原因と予防法

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専門家監修|歯槽骨を再生!吸収する大きな原因と予防法

歯周病になると、初期の段階であれば歯茎の腫れを認める程度ですが、進行していくと痛くて噛みにくくなったり、膿を出す様になったりします。
そして、やがては歯がグラグラとして、抜けてしまう様になります。これは、歯周病が歯を支えている、歯の周囲にある組織に炎症をもたらす病気であるからです。
歯の周囲の組織とは、歯茎や骨など歯槽骨のことです。
今回は、この歯槽骨が吸収してしまう主な原因と、高度になりますが、再生させる治療方法や、自宅でできる予防方法についてご説明していきます。

1.歯槽骨

1-1.歯槽骨とは?

歯の説明
歯の周りにある骨を歯槽骨といいます。歯槽骨とは聞き慣れない骨の名前ですが、”しそうこつ”と読みます。
歯槽骨の”槽”は、浴槽の”槽”と同じ漢字です。”槽”とは”おけ”という意味の漢字です。すなわち、歯槽とは歯を入れておくためのおけという意味合いの熟語になります。
この歯槽骨の役割は、歯を支えることにあります。ですので、歯が無くなれば、不要になり無くなります。
総入れ歯の方のレントゲン写真をみると、わかりやすいのですが、歯槽骨が無くなり、顎の骨が非常に薄くなった状態で描出されています。

1-2.顎の骨とは違うの?

厳密には、歯槽骨と顎の骨は異なるものです。顎の骨のことを顎骨(がっこつ)といいますが、顎骨は、歯槽骨を支えている役割を果たしている部分でして、いわば歯槽骨の土台というべき骨です。
歯槽骨の土台ですが、歯を失い歯槽骨がなくなったとしても、顎骨は無くなりません。

1-3.歯槽骨と歯の関係

歯槽骨が歯を支えているということは、前述の通りです。しかし、歯槽骨と歯が直接くっついているわけではありません。
歯の根の表面は、セメント質という部分で覆われています。このセメント質と歯槽骨を歯根膜という靭帯の様な組織で繋げています。そのために、歯は簡単には抜けません。

2.歯槽骨が吸収する原因

2-1.歯槽骨の吸収はどう起こる?

歯槽骨に限らず、骨が減ることを”骨吸収(こつきゅうしゅう)”といいます。歯槽骨の吸収とは、歯槽骨が溶けて減ってしまうことを意味しています。
歯槽骨の吸収が進むと、歯を支える力が弱くなるので、歯がぐらついてくる原因になります。
この歯槽骨の吸収のやっかいな点は、歯槽骨が歯茎で覆われているので、目で見ることが出来ないということにあります。
そのため、歯槽骨が吸収している、もしくは吸収し始めているという状態に気づくことはなかなか難しく、なんらかの症状が現れるまで自分ではわからない場合がほとんどです。
しかも、一度吸収された歯槽骨は、回復させることは非常に困難です。

2-2.歯槽骨が吸収する原因

2-2-1.歯周病

歯周ポケットの図
歯槽骨が吸収する原因の筆頭が、歯周病です。歯周病は、歯周病菌が歯の周囲の組織に感染して起こる病気で、日本人の成人のほとんどの人がかかっています。
病原性のある細菌は毒素を出すことで、人の身体に害を及ぼします。歯周病菌も同じです。歯周病菌の出す毒素が、歯槽骨を破壊します。これが、歯周病で歯槽骨が減っていく原因です。

2-2-2.歯の喪失

歯を失うと、歯を支える必要がなくなるので、歯槽骨は吸収されていきます。
しかし、ここでの歯の喪失による歯槽骨の吸収とは、残された歯の歯槽骨の吸収という意味です。
例えば、奥歯の大きな歯を大臼歯といいます。この大臼歯は2本ありますが、これを失ったままにしておくと、食べるためにはその前の比較的小ぶりの歯、小臼歯で噛まなければならなくなります。
しかし、本来小臼歯は、それほど大きな噛む力に耐える様な構造にはなっていません。そのため、小臼歯を支えている歯槽骨にも過度な負担がかかります。負担がかかったところは、圧力が高まります。この圧力が高まったところには、破骨細胞(はこつさいぼう)と呼ばれる骨を溶かす細胞が集まり、骨を減らすことで圧力を緩和しようとします。
こうして、歯槽骨が吸収されていきます。
このように、歯の本数が減ってくると、残された歯に強い負荷がかかる様になり、歯槽骨には、吸収という形で影響が及んでいきます。

2-2-3.食いしばりや歯ぎしり

食いしばりや歯ぎしりといった癖も、歯に過度な負担をかける原因になります。これも、歯槽骨が吸収される原因になってきます。

・食いしばりについては、以下の記事で詳しく説明しています。
今日からできる!食いしばりを治す7つの方法

・歯ぎしりについては、以下の記事で詳しく説明しています。
歯ぎしりがもたらす体に悪い10のことと自宅での治し方

2-2-4.ブリッジ

ブリッジ
ブリッジとは、部分入れ歯とは異なり取り外しをしない、被せものタイプの人工の歯です。歯に被せものを装着し、接着剤でとめてしまいます。
部分入れ歯にはあった歯にかける金具がなく、取り外すこともないのですが、失った歯の分の負担をブリッジを被せた歯に担ってもらうことになります。
どれだけの負担なら耐えることが出来るかを示す計算式があるにはあるのですが、絶対的なものではなく、あくまでも目安に過ぎません。ブリッジの負担に歯が耐えられなくなると、ほとんどの場合歯が割れてしまうのですが、歯槽骨の吸収として現れてくることもあります。

2-2-6.根尖病巣や歯根嚢胞

根尖病巣とは、歯の根の先の骨の中に膿がたまった状態のことです。一方、歯根嚢胞(しこんのうほう)とは、同じ様に歯の根の先に膿がたまっているのですが、骨の中にただ膿がたまっているのではなく、膿が袋状の膜に覆われている状態のことです。
この場合は、むし歯菌が原因になってくることが多いです。歯の根の先にある骨も歯槽骨ですから、これも歯槽骨が吸収してくる原因のひとつにあげられます。

2-2-7.腫瘍

腫瘍というと、まっさきに思いつくのが悪性腫瘍、いわゆるガンです。
歯の周囲のガンですと歯肉ガンが代表的ですが、こうした悪性腫瘍が出来たときも、歯槽骨は吸収されます。悪性腫瘍による歯槽骨の吸収は、レントゲン上で特徴的な所見を示し、一般的な歯周病による骨吸収像とは異なります。
腫瘍は、悪性ばかりではなく、良性腫瘍もあります。良性腫瘍であっても、発生した場所によっては歯槽骨が吸収されることがあります。

3.歯槽骨を再生させる方法

一度失われた歯槽骨を再生するのは、非常に困難です。しかし、近年いくつかの治療法が開発されてきました。

3-1.歯周組織再生誘導法

GTR法の説明
英語名Guided Tissue Regenerationの略でGTR法ともよばれています。歯周病の外科治療を行った後に、メンブレンと呼ばれる特殊な膜を歯茎の内部に留置して、歯根膜を再生させ、ひいては歯槽骨やセメント質の回復を図る治療法です。
ただし、あらゆる歯槽骨の吸収症例に対して使える方法ではありません。あくまでも、ごく一部分の歯槽骨の吸収症例に対して行われるものです。
後述する他の手法とは異なり、近年保険診療の対象となりました。

3-2.エムドゲイン

エムドゲインとは、歯槽骨の再生を図るための薬の名称です。
ブタから採取されて作られています。局所麻酔をした上で、歯肉を切開し、歯槽骨の吸収されている部位にエムドゲインを注入し、縫合する、これにより歯槽骨の再生を図るというものです。
ただし、効果があるのは、部分的に吸収された歯槽骨のみです。歯の周囲全体に及ぶ歯槽骨の吸収に対しては使えません。
エムドゲインは、世界的に行われている歯槽骨を再生させる方法なのですが、わが国では、保険診療の対象外となっています。

3-3.骨移植

骨移植は、主にインプラント手術の際に行われることが多いです。
インプラントを成功させるためには、しっかりとした骨が残されていることが大切です。しかし、必ず骨がしっかりと残っているとは限りません。
そこで、薄くなっている部分に人工骨を入れたり、もしくは腸骨が多いのですが、顎骨など体の他の部分から骨を採取して移植することがあります。こうすることで、骨の厚みを確保するのです。
ただし、厳密には、移植されて回復した骨は歯槽骨とは異なります。これも、保険診療の適応外となります。

4.歯槽骨を吸収させないために行う予防方法

歯槽骨の再生は、現状とても難しいのが現実です。歯周組織再生法やエムドゲインなど、様々な治療法が開発されています。
しかし、完全にはなかなか回復できませんし、あらゆる歯槽骨の吸収症例に対して使えるわけでもありません。もっとも肝心なことは、歯槽骨を吸収させないことです。
そこで、自身で行うことができる、歯槽骨を守るためのケアについてまとめてみました。

4-1.日々の歯みがき

歯槽骨の吸収を抑えるために、もっとも大切なことがこれです。歯槽骨は歯周病の進行が原因となって吸収されることが最も多いことは、前述した通りです。
歯周病は、歯周病菌が原因ですが、その歯周病菌は、プラークの中にたくさんいます。これを取り除くことが、歯周病対策の基本なのです。いわゆるプラークコントロールです。
日々の食生活において、その後に行なう歯みがきを丁寧、かつしっかりと行なうことで、プラークを減らしひいては歯周病の改善を図ることが出来ます。
なお、歯みがきの効果的な方法については、人それぞれことなりますので、歯科医院で説明を受けることをお勧めします。

4-2.定期的な歯科医院でのケア

日々の歯みがきをいかに丁寧に行なっても、磨きにくいところにプラークはどうしてもついてしまいます。
しかも、歯石に至っては、どれだけ丁寧に磨いていても取り除くことは出来ません。
しかし、歯石を残したままですと、そこから歯周病が進行していきます。歯石は、専用の器械を使わないと取り除けません。
取り残したプラークの除去も兼ねて、歯科医院に定期的に通い、歯の本来のきれいな状態にしてもらいましょう。

4-3.口呼吸をしない

通常、呼吸は鼻で行ないます。しかし、鼻炎などの理由で鼻ではなく口で呼吸する方がいます。
口で呼吸をすると、口の中が非常に乾燥した状態になってしまいますが、口の中は、乾燥に弱い特徴があります。
歯茎が乾燥した状態になると、歯茎が持っている歯周病菌に対する抵抗力が下がってしまい、歯周病が進行しやすくなります。また、傷ついた歯茎を治す力も下がってしまいますので、それも歯周病を進めてしまいます。
口で呼吸する癖のある方は、鼻で呼吸する様に努めて下さい。もし、鼻炎などで鼻で呼吸がしにくいのなら、耳鼻科を受診して適切な治療を受ける様にしましょう。

4-4.食いしばりや歯ぎしりをしない

マウスピース
食いしばりというと、スポーツ選手などがぐっと噛みしめた状態をイメージしがちですが、実は下の歯で上の歯を触る様な軽い接触でもずっと続ければ、食いしばりと同じ様な悪影響がうまれます。歯ぎしりも同様です。
こうした癖は、自分でコントロール出来ればよいのですが、なかなか難しい場合は、歯科医院でマウスピースを作ってもらってください。
マウスピースを入れることで、食いしばりや歯ぎしりから歯や歯槽骨を守ることが出来ます。

5.歯槽骨を守るための自宅での予防方法

日々の歯みがきが歯槽骨を守るために大切なことは前述の通りです。そこで、以下のことに気をつけて歯みがきをしてください。

5-1.歯間ブラシや糸ようじを使いましょう

歯ブラシで歯を磨くのが歯みがきの基本ですが、歯ブラシだけではどうしても取り除けない部分、特に歯と歯の隙間があります。
しかも、歯と歯の間の歯茎は、歯茎にとっても弱い部分となっていまして、歯茎が腫れてきやすい箇所でもあります。
こうしたところを効果的に磨くためには、歯間ブラシや糸ようじが欠かせません。

・歯間ブラシについては、以下の記事で詳しく説明しています。
専門家監修|おすすめの歯間ブラシと正しい使い方で防ぐ3つの病気

5-2.歯周病対策の歯磨き粉を使いましょう

歯周病に対して効果のある薬効成分を含んだ歯磨き粉が発売されています。
歯磨き粉の形状としては、一般的なペーストタイプもあれば、ジェルタイプもあります。
泡立ちが多いと、すぐにうがいがしたくなり、きれいに磨きにくくなるので、低発泡性のタイプも発売されています。

ジェルコートの歯磨き粉
ジェルタイプの歯磨き粉で、おすすめなのが、コンクールジェルコートFです。これは歯科医院での専売となっていますが、発泡剤もなく味も刺激性が少なく、使いやすい上に、殺菌成分や抗炎症効果のある成分も含まれています。

システマSP-Tジェル
ほか、ライオンがシステマSP-Tジェルという歯磨き粉を発売しています。これも歯科医院専売のジェルタイプになります。殺菌成分、抗炎症効果のある成分、血行促進成分などが含まれており、歯周病ケアに効果的です。

デンターシステマ
一方、市販の歯磨き粉としては、同じライオンの製品になりますが、デンターシステマや、サンスターのGUMもいいでしょう。
歯周病に効果のある成分が含まれています。その他にも、いろいろな歯磨き粉があります。こうした歯周病対策の効果のある歯磨き粉を使うことが効果的です。

・歯磨き粉については、以下の記事で詳しく説明しています。
歯周病に効き目あり!歯磨き粉14選!

5-3.歯周病対策の洗口剤、いわゆるうがい薬も効果的

歯周病に対しての効果の成分を含んだあるうがい薬も市販されています。歯科医院専売のものもあれば、ドラッグストアで購入可能なものもあります。

コンクールF
前者であれば、コンクールFといううがい薬があります。クロルヘキシジンという殺菌効果のある薬効成分が含まれています。緑茶成分も配合されており、色が緑色をしているのが特徴です。

リステリン
後者であれば、リステリンが有名です。リステリンは数種類発売されています。刺激の強いオリジナルタイプから、アルコール成分を除いて刺激が低く抑えられたゼロというタイプまで、様々な種類があります。
どの製品にも、殺菌作用や歯周病予防、むし歯予防の薬効成分が含まれています。初めての方なら、オリジナルタイプは刺激が強すぎると思われますので、それ以外の刺激性の低いものから使い始めることをお勧めします。また、これらに限らずその他にも、いくつか製品があります。こうした薬効成分の含まれたうがい薬を併用することも効果的です。

・洗口剤については、以下の記事で詳しく説明しています。
専門家監修|リステリンの全種類を解説。効果を高める使用方法

まとめ

吸収された歯槽骨を完全に再生させる方法はまだ無く、ごく一部の歯槽骨の吸収症例に効果がある程度です。
そのため、歯槽骨にとって最も大切なことは、吸収を未然に防ぐことにあります。
歯科医院でなければ受けられない歯周病ケアもあれば、自宅でも行なえるケアもあります。
こうしたケアを通して歯槽骨を守り、ひいては歯を守って、いつまでも自分自身の歯で食事が出来る様に保ちましょう。

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