腫れて痛い!歯根嚢胞の原因と再発時の対処方法

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腫れて痛い!歯根嚢胞の原因と再発時の対処方法

虫歯が出来ていることは知っていたけれど、穴が開いているのに痛くないから放置していたときに、急に歯茎が腫れ上がって痛くなってくることがあります。
また、虫歯の治療を以前に受けて、歯の神経をとって被せものをして治っていた筈の歯が、何の前触れもなく腫れて痛くなってくることがあります。
このようなときは、噛むと歯に痛みを感じるばかりか、歯茎も腫れて痛いので、食事もとりにくくなります。
そこで歯科医院を受診したところ、歯の根の先に嚢胞(のうほう)というできものが見つかることがあります。歯根の先に出来た嚢胞を歯根嚢胞(しこんのうほう)といいます。
嚢胞とは中々聞き慣れない病名です。歯根嚢胞についてご説明します。

1.歯根嚢胞について

1-1.嚢胞ってなに?

嚢胞とは、身体の中に出来た袋状のできもののことです。袋の内部には、液体の内容物が入っています。おできの様なイメージを想像してもらえればいいと思います。
嚢胞自体は、骨の中に出来ることもあれば、歯茎や舌、唇等軟組織とよばれるところにも出来ます。実は、お口の領域の病気のうち嚢胞が占めている割合は1/3から1/4程度といわれているほど、歯科では極めて頻度の高い病気です。

1-2.歯根嚢胞ってなに?

歯根嚢胞
歯根嚢胞とは、歯根の先に出来る嚢胞のことです。
歯根嚢胞の頻度はとても高いです。実に顎の骨の中に生じる嚢胞のうち、50%以上が歯根嚢胞といわれるほどです。

1-3.歯根嚢胞の原因ってなに?

歯根嚢胞の原因は、細菌感染と考えられています。
ところで虫歯の原因は、虫歯菌が産生する乳酸によって歯がとかされることです。
虫歯菌が歯を溶かしながら歯の内部へと進行すると、歯の神経にまで虫歯菌が到達する日が来ます。歯の神経に虫歯菌が感染すると、炎症を起こし、いずれは死んでしまいます。これを失活といいます。そして死んだ歯の神経は、最終的には腐ってドロドロにとけていきます。この中は、虫歯菌の巣窟になっています。
その後、虫歯菌が歯根の先に達すると、その周囲の骨に膿を溜めて、根尖性歯周炎という病気を起こします。この段階では、歯根の先に膿がたまっただけの状態です。これを早期に治療することが出来ればいいのですが、放置していた場合に慢性化し、やがて歯根嚢胞に変わっていきます。
また、歯の神経をとった歯にも歯根嚢胞ができることがあります。この場合も、やはり細菌感染が原因です。
歯の神経をとった歯には歯の内部に空洞が生じますので、そこに虫歯菌が侵入しないようにするために空洞を埋めておかなければなりません。この空洞を埋める薬が根管充填材という薬です。しかし、細菌の大きさに比べると根管充填材はとても大きいので、いくら緊密に詰めたつもりでも隙間から細菌が入り込んでしまうことがあります。
そして、歯根の先に達すると、そこに膿を溜めるようになり、根尖性歯周炎から歯根嚢胞へと進んでいきます。

1-4.歯根嚢胞の特徴

歯根嚢胞が出来る歯は、歯の神経が失活している歯だけです。歯の神経が元気な歯にはできません。
また、通常は痛み等の自覚症状が乏しいことが大半で、レントゲン写真を撮影して初めて発見されることも珍しくありません。
その大きさは、エンドウ豆程度がほとんどですが、大きいものではたまごくらいの大きさに成長することもあります。
急に大きくなることはありませんが、大きくなってくると、骨が盛り上がってくることがあります。また、その周囲の骨の厚みが薄くなってくるので、そこに触れると骨がぺこぺこしたりすることがあります。

2.歯根嚢胞が痛くなる時とは

歯根嚢胞そのものは、慢性的に徐々に大きくなっていく病気です。前述したように、痛みが生じることは稀です。
しかし、歯根嚢胞の成立には細菌感染が大きく関与しています。したがって、歯根嚢胞にはすでに細菌感染が生じていると考えられます。
通常は、身体の持っている免疫力が作用して、歯根嚢胞内部で細菌が増えるのを抑えています。
免疫力とは、細菌や異物に対する身体が持っている抵抗力のことです。元気なときは、免疫力が身体を守っています。そのため、急に腫れたりすることはありません。
なお、免疫力が正常に機能していても、身体の中に細菌感染が全く生じないということはありません。生きている限り、いろいろな細菌と共存することは避けられません。免疫力の働きは、細菌や異物が身体に有害な作用を及ぼさないように抑えたり、防いだりことにあります。
ところが、カゼや疲れなどの体調不良や、免疫力を下げる様な効果のある薬を使っているなどといった理由で、免疫力が下がってしまうことがあります。
免疫力が下がると、細菌が増殖するのを抑えることが出来なくなります。この結果、歯根嚢胞内で細菌の活動性が上がってくると、腫れてくるようになります。そして、歯根嚢胞が腫れることで、内部の圧力が高まってくるので、周囲が圧迫されて痛みを生じるようになります。
このようなときは、歯科医院で抗菌薬を処方してもらうといいでしょう。
また、痛いというほどでなくても、歯が浮いた感じがするときもあります。これは、歯根嚢胞が腫れて歯を下から押し上げているからです。歯が浮いた感じがするときは、痛みを生じる前段階かもしれません。そのような感覚を感じるときは、痛いというほどじゃないからといって放置するのではなく、早めに歯科医院で診てもらった方がいいでしょう。

3.歯根嚢胞の治療法

3-1.摘出術

歯根嚢胞の治療は、基本的に嚢胞そのものを摘出する全摘出術になります。飲み薬で治るようなことはありません。

3-1-1.根管治療

根幹治療
嚢胞を摘出する前に、まず嚢胞の原因である細菌感染の原因を治しておいたほうが、経過がいいです。
そこで、根管治療とよばれる歯の根の治療を行ないます。根管とは、歯の神経があった空洞のことです。根管治療とは、根管内を消毒し、感染した歯根部分を取り除く治療のことです。
これを摘出術の前にしっかりと行なっておくことで、術後に新たに細菌感染が生じることを防ぐことが出来ます。

・根管治療については、以下の記事で詳しく説明しています。
確実な歯の神経と根の治療!歯の寿命が長持ちする根管治療

3-1-2.嚢胞摘出術

局所麻酔をした後、歯茎を切開します。切開の範囲は、嚢胞の両隣の歯までになることが多いですが、嚢胞の大きさや位置によっても変わります。
切開した歯茎を開いて、骨を露出させます。嚢胞によって骨が薄くなった部分を探し、そこから骨を削って嚢胞を明示します。
嚢胞の縁に器械をいれ、嚢胞を骨から剥がしていきます。剥がし終わった後に嚢胞を取り出します。
嚢胞があった空洞には、原因の歯の歯根が残っています。この飛び出した歯根を切除して取り除きます。なお、これを歯根端切除術といいます。
最後に、周囲の骨に嚢胞の取り残しが生じないように掻爬し、露出した骨面をきれいにします。
そして、切開した歯茎を戻して縫合して終了となります。

3-2.根管治療

歯根嚢胞がごく小さい場合は、歯根の治療によって治ることもあります。

3-3.抜歯

原因となった歯の状態が悪い場合は、抜歯して嚢胞を摘出することになります。

3-4.意図的再植術

下顎の奥歯の歯根嚢胞の場合など、歯根端切除術が難しい場合があります。しかし、根管治療だけではどうしても完治しない時、わざと抜歯して、再び植える治療を行なうことがあります。これは、抜歯して出来た穴から歯根嚢胞を摘出し、そして、抜歯した歯に歯根端切除術を行うのが目的です。
抜歯することで歯根嚢胞を直接視野に入れて摘出出来る、しかも歯を残すことが出来るというメリットがあるのですが、歯根が曲がっていると、歯を破損することなく抜歯することが出来ないので出来ません。また、例え歯根がまっすぐであったとしても、抜歯の際に折れてしまうと、これもまた再植することはできなくなります。

3-5.ヘミセクション

ヘミセクションとは、部分抜歯ともよばれる方法です。奥歯は歯根が複数あります。そのうちの1本だけに歯根嚢胞が出来た場合、その1本だけを摘出し、残る歯根を残す方法です。
残された歯根は、被せものの土台として利用出来ます。

4.歯根嚢胞が再発したときの原因について

抜歯して歯根嚢胞を摘出した場合、再発することはまずありません。しかし、嚢胞摘出術と歯根端切除術を行ない、歯を残した場合、まれに歯根嚢胞が再発することがあります。
この歯根嚢胞が再発する原因は、細菌感染にあると考えられています。
細菌感染が生じるルートとしては、根管からの細菌の侵入が考えられます。なお、歯根嚢胞は顎の骨の中にあるのですが、通常、骨は無菌状態にありますのでそこからの感染は考えられません。
歯の神経が失活する過程で、そこに細菌感染が生じます。細菌感染は神経にだけ生じるわけではなく、その周囲の歯根にも生じます。
そこで、歯の神経の治療をする時には、感染した歯の神経を取り除くだけでなく、その周辺の感染が生じているであろう歯根の部分もきれいにします。
しかし、きれいに取り除くことが出来たかどうかを知るすべは、今のところありません。その判断は歯科医師の経験に大きく頼っているのが現実です。
もし、歯根嚢胞が再発するようなことがあれば、根管内からの細菌感染が疑われますので、まずは歯の根の治療から行なわなければなりません。

5.すぐに歯医者へ行けないときの応急処置

5-1.市販の痛み止めを使う

のみ薬のイメージ
抗菌薬で炎症の緩和をするのがいいのですが、抗菌薬は処方箋がなければ入手することは出来ません。
痛み止めならドラッグストアや薬局で購入することが出来ますので、市販の痛み止めで除痛を図ることができます。
しかし、原因は改善されないので、早めに歯科医院を受診する方がいいでしょう。

・歯が痛い時に役に立つ薬については、以下の記事で詳しく説明しています。
歯が痛い時に役に立つ薬と薬が効かない6つの症状

5-2.冷やす

冷やしてみるのもいいでしょう。ただし、患部を直接冷やすのではなく、頬の上から冷やす方にしてください。
直接冷やすと冷え過ぎて、かえって治りが悪くなることがあります。

5-3.ツボを押さえる

合谷のツボの位置
手のおや指の付け根付近で、掌寄りの部分に合谷(ごうこく)とよばれるツボがあります。合谷は歯の痛みに効くとされるツボです。ここを刺激してみましょう。すると痛みが緩和されることがあります。
このツボを、反対の手のおや指と人差し指を使って、掌側と手の甲側から挟みます。
うまく押さえることが出来れば、小指の付け根付近に痛みが響きます。

6.まとめ

歯根嚢胞は、歯科ではとても頻度の高い病気のひとつです。
通常は、ゆっくり大きくなっていく病気なので、痛みを感じることはあまりありません。
ところが、体調不良などにより免疫力が低下した時、急に腫れたり痛くなったりします。このようなときは、歯科医院で抗菌薬を処方してもらってください。
しかしながら、歯科医院にすぐにはいけない時は、市販の痛み止めを使ったり、冷やしたりして、一時的に痛みを緩和するのがいいでしょう。。
歯根嚢胞の治療は、基本的には嚢胞摘出術となります。しかし、歯の状態が悪い場合などは、抜歯しなければならないこともあります。また、ごく小さいものであれば、根管治療で治ることもあります。
歯根嚢胞は、虫歯で失活した歯にしか出来ません。虫歯が出来たときは、放置せずなるべく早めに歯科医院で治療を受けることをお勧めします。そして、虫歯が出来ないよう、毎食後の歯みがきをていねいにすると同時に、歯科医院で定期的に磨き残しを取り除いてもらったり、虫歯のチェックをしてもらったりしてください。こうして、歯根嚢胞を予防しましょう。

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