歯が痛くて耐えられない!神経を抜く抜髄治療のすべて

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歯が痛くて耐えられない!神経を抜く抜髄治療のすべて

人間は、歯がある限り、年齢を問わずむし歯になるリスクを常に伴います。歯の表面だけに留まった小さいむし歯であれば、痛みを感じることは全くないか、もしくは非常に軽度です。
この状態のうちにむし歯を発見することができれば、コンポジットレジン充填法という歯の色に似たプラスチックを詰める治療を行なうことで、むし歯の治療はその日のうちに完了させることが出来るうえ、痛い麻酔の注射をしなくてもすむこともありますし、治療後の見た目もきれいで、目立ちにくくすることが出来ます。

ところが、むし歯を小さいうちに発見することが出来ず、歯の神経のあたりまでむし歯が進んでしまうと、歯に痛みを感じるようになってきます。
このときの歯の痛みは、人間が感じうるもっとも痛い痛みとまで表現されることもあるほど耐え難いものです。
そして、この状態までむし歯が進んでしまいますと、その日のうちにむし歯を詰めて終わりにするというわけにはいかなくなります。
では、このようなむし歯には、どのような治療をしていくことになるのでしょうか。
今回は、歯の神経を取り除く「抜髄」について詳しくご説明いたします。

1.歯の構造

歯は、はえてきた年齢や順序から乳歯や永久歯、はえている場所や形の違いから前歯・小臼歯(しょうきゅうし)・大臼歯(だいきゅうし)など、いろいろな分類がなされていますが、形の差こそあれ、その構造は基本的に全て同じです。
歯の神経図
歯は、歯茎から上の歯冠(しかん)という頭の部分と、その下になる歯根(しこん)という部分から構成されています。
歯の内部には、歯の神経である歯髄(しずい)がある歯髄腔(しずいくう)とそれを内包している象牙質(ぞうげしつ)という部分があります。象牙質は、表面に露出していることはなく、歯冠部であればエナメル質に、歯根部であればセメント質に覆われて保護されています。
セメント質の周囲には、歯根膜(しこんまく)とよばれる薄い膜状の部分があり、その外側に歯を支える役割を担う歯槽骨(しそうこつ)があります。
なお、歯槽骨は歯を支えるための骨なので、歯が無くなると自然に吸収されなくなります。

2.むし歯について

2-1.むし歯の原因

むし歯という名称は、むかし、歯を虫が食べることで穴が開くと考えられてきたことによります。
現在では、むし歯の原因は、ストレプトコッカス・ミュータンスに代表される、いわゆるむし歯菌であることが判明しております。つまり細菌感染症のひとつなのです。

むし歯を持っている人口を考えると、世界で最も広がった細菌感染症のひとつという見方もあります。
そのむし歯菌は、歯の表面で生息し、そして増殖していきます。その際に歯の表面についた食べカスなどを栄養源として取り込み代謝する過程で、副産物として乳酸を作り出します。
その乳酸のpHは、酸性に傾いています。
歯の表面の素材であるエナメル質は、人間の身体の中で最も硬い部分といわれていますが、残念ながら乳酸の酸性には勝てず、徐々に溶かされていきます。これがむし歯の原因です。

2-2.むし歯の進行具合による分類

むし歯は、むし歯菌が歯を溶かして穴をあけていくのですが、その穴の深さからC1からC4までの4段階にむし歯の進行度は分類されています。
”C”とは、むし歯の英語名称であるDental CariesのCです。

その他、CO(Caries Observation)という段階もあります。これはC1の前段階に相当し、削って詰めたりする必要がない、経過観察でよい状態という意味で、Observation(観察)という表記がなされています。

虫歯の進行イメージ

C1:エナメル質に留まった状態のむし歯
C2:エナメル質の直下の象牙質にまで及んだむし歯
C3:歯の神経の付近にまで進んできたむし歯
C4:むし歯が大きくなり、歯冠がほとんど無くなったむし歯

わかりやすく表現すると、このような感じになります。
C4まで進んでしまいますと、残念ながら抜歯となることがほとんどです。ですから、なんとかむし歯を治して歯を残せるのは、C3までの段階となります。

3.抜髄ってなに?

抜髄(ばつずい)とは、むし歯の治療法のひとつで、歯の神経を取り除く処置のことです。
歯の神経である歯髄を抜くということから、このように表されています。

ところで、歯の神経といいますが、実は神経以外にも動脈や静脈といった血管も走っています。
神経は、血管が損傷した時に知らせるセンサーの役割を担っていますので、血管があるところには神経が存在しています。
歯についても同じで、歯の中に神経が存在している理由も、そこにあります。歯は、歯の内部に走っているこれらの血管を通して酸素や栄養を受け取ったり、老廃物を排出したりしています。

抜髄というと、歯の神経だけを取り除く様なイメージですが、実際のところはこうした歯に酸素や栄養を供給している血管も一緒にとってしまうことになります。
血管が無くなることで、栄養が供給されなくなり、このために、抜髄後は、歯は俗にいう”死んだ”状態になります。
そのために、歯の強度が低下してしまい、欠けたりしやすくなります。また、白血球などの免疫系の細胞は、血管を通して供給されますので、血管を失った歯は、免疫系の作用出来ない部分となってしまいます。そのためにむし歯にもなりやすくなります。なお、抜髄をする前の歯を”生活歯(せいかつし)”、抜髄をした後の歯を”失活歯(しっかつし)”といいます。

こうした理由から、抜髄をしないといけない段階になるまでにむし歯を治療して、歯髄を残すようにすることが大切になってきます。

・歯の神経ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
歯の神経をできるだけ残したい理由と抜かざるを得ない症状

4.抜髄が必要となる状態について

歯科医師は、歯髄が存在することにより得られる良い点を理解していますので、むし歯であっても極力歯髄を温存しようと試みます。
しかし、どうしても抜髄をしないといけない場合が存在します。

むし歯になりそのレベルが、C3の段階まで進んできますと、歯の神経がむし歯菌によっておかされ、痛みが出始めます。その時の歯の痛みはかなりのものとなります。
むし歯の痛みの強さについて、身体の中で最も痛い痛みと表現されるのは、この時の痛みです。
この段階までむし歯が進行してしまいますと、ただ削って詰めるだけではむし歯の痛みをとり除くことが出来なくなります。そのために抜髄をして痛みを感じなくする治療を行なう必要が出てきます。

また、むし歯を削るとその分、歯が薄くなります。
たとえ、むし歯が歯の神経のあたりまで達していなくても、むし歯を削ることにより、歯が薄くなりますから歯の神経と外界までの距離が近くなってしまいます。
このために、冷たいまたは温かい水や食べ物、空気などの刺激により、歯が痛くなってきたり、もしくは痛みが増してくることがあります。
このように、むし歯が歯の神経付近にまで達していなくても、痛みがとれないときや、ひどくなるときは抜髄をして痛みをとるようにしなければなりません。

その他、むし歯がなくても、歯周病の治療や、ブリッジと言われる被せものなどを装着するなどの目的により、抜髄を選択しないといけないこともあります。

5.抜髄ってどうやってするの?

まず、対象となるむし歯の歯の歯茎に局所麻酔の注射を行ないます。
麻酔の注射も痛いのですが、これをしておかないと抜髄処置中の痛みは相当辛いものなので出来ません。
麻酔の注射の痛みを緩和するために、歯茎に表面麻酔とよばれる塗り薬タイプの麻酔薬を塗ることもあります。
そして、局所麻酔が効いた頃合いを見計らい、まずは歯にできたむし歯の部分を削って取り除いていきます。

むし歯の部分がとり終わったら、歯の神経の直上の象牙質を削り、神経を露出させます。
神経が露出したのち、リーマーやファイル、クレンザーとよばれる道具を用いて神経を除去していきます。
正確には、この段階が抜髄となります。なお、このとき、歯の根の先まできれいに神経を取り除かないと、残髄炎(ざんずいえん)とよばれる痛みや不快感が残ったりすることがあります。

根幹治療

神経を除去したのちは、根管形成(こんかんけいせい)や根管拡大(こんかんかくだい)という神経のあった部分の形を整える処置を行ないます。
そして、根管消毒薬を綿花につけたりして挿入し、唾液が侵入してこないように仮の蓋をして終わります。これが、抜髄の一連の流れです。麻酔が切れた後に生じる痛みに対しては、痛み止めを処方して対応することになります。

6.抜髄後の歯はどうなるの?

6-1.根管治療と根管充填とは

抜髄をした後は、その空洞になった歯髄腔は、免疫系が作用出来ない空間になってしまいます。
なお、歯髄が無くなったことで、歯髄腔という名称は、”根管(こんかん)”にかわります。
抜髄をしたことでむし歯の痛みが無くなったとしても、こうした部位は細菌が繁殖する温床となり、そのために歯の根の先の骨の部分に膿の袋を作ったりする原因になることがあるので、そのまま空洞で放置しておくことはよくありません。

そこで抜髄後の根管に細菌が存在しなくなるように、次亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素水を用いて消毒を繰り返し行ないます。その上で、根管消毒薬をつけて仮の蓋をします。
この治療を”根管治療(こんかんちりょう)”といいます。

こうした治療を何回か反復して行ない、根管愛撫が無菌であると認められたのちに、細菌が繁殖する空間を無くすために、隙間なく緊密に根管をガッタパーチャとよばれるもので埋めて閉鎖する”根管充填(こんかんじゅうてん)”処置を行ないます。

・根管治療ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
確実な歯の根の治療を!歯を長持ちさせる根管治療に必要な3つのこと

6-2.噛めるように、そして歯を守るために

根管充填までが終わっても、この段階ではまだ食べ物をかむことは出来ません。
歯冠にはまだ虫歯を削って出来た穴が残っているからです。
ただし、この穴を埋めて治療が終わるわけではありません。

抜髄されて失活歯となった歯は、強度の面で生活歯と比べて弱くなることが知られています。すなわち、食事の時の刺激などで歯が割れたりしやすくなるのです。
割れ方によっては抜歯となることもあります。ですから、むし歯の穴をコンポジットレジンなどで詰めて終わりにすると、将来歯が割れて抜歯になるリスクをはらんでしまうことになります。
そこで、保険診療であれば銀歯などを、保険外診療であればセラミック系の被せものをいれたりして、噛めるようにすると同時に、弱くなった歯を保護する必要があるのです。

・コンポジットレジンついては、以下の記事で詳しく説明しています。
虫歯を削らずに保険で白く治療!コンポジットレジンとは

まとめ

抜髄は、むし歯の進行度でいうとC3クラスの段階のむし歯に対して行なわれる、歯の神経を取り除く治療法です。
歯の神経にまで及んだむし歯の痛みは、相当なもので抜髄によって神経をとることにより歯の痛みをなくすのが、一般的な治療法となります。
抜髄は、局所麻酔の注射をした上で行なわれる処置です。この抜髄を受けた歯は、根管部分を入念に消毒したうえで、隙間がないようにきっちりと詰める根管充填まで行なう必要があります。
また、抜髄された歯は、強度の面で弱くなってしまいますので、根管充填処置が済めば、被せものを入れて歯を保護し、かつ食べ物を食べることが出来るようにする必要があります。

このように、幾つもの段階を経て治療を行なう必要があるために、初期の小さい段階で見つかった場合と比べると治療の期間も、長くなってしまいます。費用もその分高くなりますし、痛みも強くでてきます。
定期的に歯科医院で歯の状態を診てもらい、小さなうちにむし歯を見つけて、抜髄を受けずに済むようにしましょう。

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