前歯のインプラントで知るべき5つの注意点と施術法と価格

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医師監修|前歯のインプラントで知るべき5つの注意点と施術法と価格

前歯がなくなると、見た目だけではなく、発音や食事にも大きな影響がでてきます。
前歯をインプラントにすることは、施術においても奥歯のインプラントとは異なる注意点があります。
そこで、前歯をインプラントする際に知っておくべき、注意点や骨造成術を含む施術方法、費用、そして大切なメインテナンスについて説明します。

1.前歯について

1-1.前歯とは

歯列
ヒトの前歯は、正式には”切歯(せっし)””犬歯(けんし)”と言われます。切歯はさらに、中切歯(ちゅうせっし)と側切歯(そくせっし)に分けられます。
これらは中央から、中切歯、側切歯、犬歯の順に並んでおり、上顎6本、下顎6本の合計12本あります。
前歯の共通する形の上での特徴は、その断面をみると三角形をしていることです。対して、奥歯は”臼歯(きゅうし)”と呼ばれ、断面をとると、四角形になっています。

1-2.前歯の役割

歯の一番の役割は食べるために噛むことにあります。前歯には、食べ物を噛み切る役割があります。なお、奥歯は食べ物をすりつぶす働きをします。
そして、ヒトの場合は発音についても歯の果たす役割は重要です。前歯に関してなら、サ行の発音をする時に、必要な歯となります。
また、前歯は顔の表情を作る時にも大切になってきます。顔は、表情筋という筋肉の働きで、笑ったり怒ったりという表情を作り出します。その時、前歯も表情を形作ることに関与しています。仮に、前歯が無くなると、その時の顔は唇が内側に落ち込んだ老け顔になってしまいます。
ですので、前歯を失ったときには、それを補うための何らかの治療が必要となってきます。

2.前歯のインプラントをするときの5つの注意点

前歯のインプラントは奥歯のインプラントにはない特徴があり、難易度が高いことがあります。そこで、前歯のインプラント治療をする際の注意点について整理しました。

2-1.骨が薄い

前歯は奥歯と違って、噛み切る役割を担っています。そのため、食べる時に奥歯の様な大きな力がかかりませんので、骨も奥歯ほどに厚みがありしっかりしているわけではありません。
つまり、前歯を支えている骨は薄いのです。骨が薄いと、インプラント手術の刺激で、骨が吸収(とけてしまうこと)する可能性があります。特に前歯の場合、骨が吸収すると、インプラントが露出してしまうおそれがあり、そうなると見た目がとても悪くなってしまいます。

2-2.歯茎が下がりやすい

歯茎は歯を支えている骨についています。骨が吸収されてやせてくると、それにともない歯茎も下がってきます。
もし、インプラント手術の刺激で骨がやせてくると、歯茎も下がってしまいます。歯茎が下がってくると、他の歯と比べて相対的に歯が大きく見える様になり、見た目に違和感が生じやすくなります。

2-3.前歯の形や色

前歯は、目立つ位置にありますので、奥歯と比べて外見に大きく影響します。
他の前歯と比べてより違和感のない、つまり自然な仕上がりとしなければなりません。つまり、インプラントの人工歯の形や色をきちんとあわせることが大切になってきます。

2-4.歯茎の色

歯茎の厚みが薄い場合、インプラントの色が透けて見えてしまい、歯茎の色がその部分だけ変わってしまうことがあります。

2-5.噛み合わせ

前歯は食べ物を噛み切る働きをしています。噛み合わせがゆるいと噛み切ることが難しくなります。
しっかり噛める様に噛み合わせる歯と当てすぎると、歯が欠けてきたりすることがあります。この微妙なバランスが難しいのです。また、歯ならびが受け口のときがあります。こうしたときに特に上の前歯のインプラントがかけたり、傷んだりしやすくなります。このように、前歯の噛み合わせをつくる時には、奥歯にはない困難さがあります。

3.骨の厚みを増すためには

前歯は、骨の厚みが薄いという特徴があります。そこで、インプラントを入れる時に、骨の厚みを増すために骨の厚みを増やす処置を追加で行うことがあります。
これを骨造成術(こつぞうせいじゅつ)といいます。

3-1.骨造成に使われる材料について

骨造成術
骨を造成するために使われる材料には、自家骨(じかこつ)、他家骨(たかこつ)、異種骨(いしゅこつ)、代用骨(だいようこつ)があります。

3-1-1.自家骨

自家骨とは、自身の身体の他の部分の骨を採取する方法です。
自家骨は経過が良好で、病原性もなく、アレルギー反応もでないので、多用されています。しかし、採取量に限りがあり、骨を採取するという追加の処置が必要となるデメリットがあります。採取される部位としては、お口の中では奥歯の骨、鼻の下の出っ張った部分の骨が多いです。その他、腸骨も利用されます。

3-1-2.他家骨

他人の骨を利用して移植する方法で、ヒト脱灰凍結乾燥骨(ひとだっかいとうけつかんそうこつ)を用いるのが代表的です。
治療成績は良好ですが、未知の病原性物質への危険性が否定できません。日本では厚生労働省の承認が得られていないため、使うことは出来ません。

3-1-3.異種骨

ヒト以外の骨を使って移植する方法です。牛骨から作られたものが欧米では骨造成用として多用されています。
日本では、歯周病の治療用としては、使用することが認められていますが、骨造成用としては認められていません。

3-1-4.代用骨

代用骨は、人工骨とも呼ばれています。
骨の成分によく似た材料であるハイドロキシアパタイトやリン酸カルシウムなどが使われています。病原性などがないので安全である反面、骨組織への置き換わりに課題が残っています。

3-2.どの骨造成術がいいの?

4種の骨の移植材料としては、自家骨が最も優れており、現時点でも自家骨移植が標準となっています。
しかし、いかに優れているといっても採取量に限界があることもあり、足りない分を代用骨で併用し、補うことも多いです。

4.前歯のインプラントの方法

4-1.術前検査

インプラントを行なう前に、レントゲン写真やCTを撮影し、骨の厚みや吸収具合などの状態を把握します。また、歯型をとり、インプラントにつける人工歯の形について検討も行います。

4-2.インプラントの埋入

局所麻酔を行ない、歯茎を切開し、インプラントを埋め込む部分を露出させます。
ついで、インプラントを埋め込む部分の骨の表面に印を入れます。
そして、専用のドリルを用いて、インプラントを入れる方向にガイドとなる穴をあけます。
このガイドに沿って、専用のドリルで穴を拡大し、インプラントを入れるための幅のある穴に形成します。
出来た穴にインプラントを埋め込みます。
埋め込んだインプラントには、仮の蓋をしておきます。

4-3.骨の造成

インプラント周囲の骨の厚みを確保するために、骨造成術を行います。
移植材料としては、自家骨や代用骨、もしくはその両者が多いです。また、移植した骨がきちんと骨になるように、メンブレンとよばれる特殊な膜をその上に置いて保護する様にすることもあります。

4-4.縫合

インプラントや造成した骨を覆う様に、歯茎を縫合して閉鎖します。
このとき、閉鎖するためには歯茎が不足し、歯茎に無理な力がかかりそうな場合は、歯茎を伸ばすような処置を行うことがあります。なお、抜歯はおおむね1週間後になります。

4-5.仮歯

インプラント手術だけでは、まだ前歯がないままですので、しばらくの間は仮歯をつけて、過ごすことになります。仮歯はとれやすいので、仮歯の部分で食べ物を噛まない様にする必要があります。

4-6.人工歯の装着

インプラントの周囲に骨が結合してくるまで、4〜6ヶ月ほどの期間が必要となります。この期間を過ぎた後、人工歯を装着する段階にうつります。なお、インプラントの場合、人工歯のことを上部構造といいます。
まず、局所麻酔を行い、歯茎を切開します。
すると、インプラントの仮の蓋が見えてきますので、それを外し、アバットメントとよばれる人工歯とインプラントを繋げる芯を入れます。そして、歯型をとり、人工歯をとりつけて、終わりとなります。

5.前歯のインプラントの費用

インプラント治療は、保険診療の適応外となります。それぞれの歯科医院が独自に治療費を設定しています。
一般的に1本あたり30万円前後が多いです。また、骨造成にかかる治療費も保険診療では行えません。1本あたり5〜10万円が多いです。ですので、前歯のインプラント治療の治療費としては、それらの合計金額となってきます。

6.前歯のインプラントのメインテナンス

インプラントは、インプラント周囲炎とよばれる炎症を起こしますと、インプラントの周囲の骨に明らかな吸収や変化が起こり、進行すればインプラントを支えきれなくなり、インプラントが抜けてしまう原因になります。
そんなインプラント周囲炎を防ぐために小尾なわれる治療がメインテナンスです。
メインテナンスは日本語に訳すると、”支持療法”とよばれ、インプラントを”支”え、維”持”するために、とても大切なことです。
このメインテナンスは、以下の検査と処置を組み合わせて、2〜6ヶ月おきに定期的に実施されます。メインテナンスを適切に実施することにより、インプラントを長持ちさせることが出来る様になります。

・メインテナンスについては、以下の記事で詳しく説明しています。
インプラントはお手入れが重要!寿命を延ばすお手入れ完璧ガイド

6-1.メインテナンス時の検査項目

6-1-1.プラークコントロールの状態

お口全体のプラークの付き具合を確認します。歯科医院で定期的に歯の掃除を受けることも大切ですが、それ以上に重要なのが、日々の歯みがきになってきます。
毎食後、ていねいに歯を磨くことが、歯茎の炎症を予防することに繋がります。どれだけ歯がきれいに磨けているかを判断するために行なわれる検査が、プラークコントロールの状態の検査になります。

6-1-2.インプラント周囲の歯茎の状態

インプラント周囲の歯茎が腫れていないか、出血しやすい状態になっていないか確認します。

6-1-3.感染の有無

インプラントに感染が起きていないか、膿が出ていないか確認します。

6-1-4.インプラントの揺れや弛み

インプラントがぐらぐらと揺れいていないか、ねじが緩んでいないか確認します。

6-1-5.レントゲン写真撮影

インプラント周囲の骨の状態を確認します。肉眼的には見えない、骨の状態をレントゲン写真を撮影して調べます。これにより骨に吸収が生じているかどうかがわかります。

6-1-6.写真撮影

メインテナンス時に定期的に写真撮影を行ない、以降の変化が容易に確認出来る様にします。

6-2.メインテナンス時の処置項目

6-2-1.クリーニング

歯石の除去や、歯の表面についた汚れの除去を行ないます。これにより、インプラント周囲炎の予防を図ります。

6-2-2.咬合調整

実は、歯は常に動いているものでして、そのため、噛み合わせも変化し続けています。しかし、インプラントは、骨にがっちりと固定されるため、他の歯の動きにあわせて動いてくれることはありません。そこで、定期的に噛み合わせを確認し、適時噛み合わせを調整する必要があります。その噛み合わせの調整のことを咬合調整(こうじょうちょうせい)といいます。

6-3.自宅でのメインテナンス

前述のメインテナンスは、歯科医院で行なうものですが、自宅での日々の歯みがきに代表されるお口のケアも、メインテナンスに含まれます。インプラントの周囲を含め、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシや糸ようじも使ってていねいに磨くことで、インプラント周囲の歯茎の腫れを予防し、インプラントを長持ちさせることが出来る様になります。

まとめ

前歯を失った場合、食べ物を噛むだけでなく、話すことや、外見にも影響が出てきます。
そのため、前歯のインプラントを成功させるには、骨の状態や審美性、噛み合わせなどを考慮して行う必要があります。
また、骨の厚みが不足している場合に、骨造成術を行うケースもありますので、予後のメインテナンスも含めて、慎重に治療の検討をするようにしてください。
メインテナンスには、定期的に歯科医院で行われるものと、自宅で日々行なうものの2種類がありますが、そのどちらが欠けてもインプラントは長持ちすることができません。
せっかく入れた前歯のインプラントが少しでも長持ちするよう、努めるようにしてください。

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