もとに戻せる可能性も!歯が抜けた時の応急処置と治療法

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もとに戻せる可能性も!歯が抜けた時の応急処置と治療法

むし歯や歯周病がひどくなり、歯科医院で歯科医師の手によって歯を抜かざるを得なくなることがあります。
しかし、そうでなくても歯が抜けてしまうことがあります。例えば外傷などが挙げられるかと思います。このように、歯科医院以外で不意に歯が抜けた時、どうすれば良いのでしょうか。
正しい応急処置方法を知っておけば、抜けた歯をもとに戻せる可能性もあります。
きちんと処置ができるように、歯が抜けた時に知っておくと良い知識について説明いたします。

1.歯が抜ける主な原因

1-1.外傷

インプラント術後に痛みのある人のイメージ
外傷とはケガのことです。外傷により歯が抜けてしまうことを、『歯牙脱臼』(しがだっきゅう)といいます。
歯牙脱臼は、その症状から『完全脱臼』と『不完全脱臼』の2つに分けることができます。完全脱臼とは、完全にお口の中から抜け落ちてしまうことを言います。一方、不完全脱臼とは、抜けかかったけれど、完全に抜け落ちてはいない状態のことです。
ですから、歯が抜けるというと、お口から抜け落ちた状態を想像しがちですが、実はそうでなくても歯が抜けたとみなされることがあるのです。

1-1-1.歯牙脱臼について

歯牙脱臼を起こすのは、圧倒的に前歯が多いです。外傷の力が奥歯にかかった場合は、破折することが多いからです。
歯に外傷を起こす原因は、交通事故、転倒転落、スポーツ、作業事故、暴力、飛来物などがあげられます。このうち、交通事故や転倒転落が大多数を占めます。
近年は、シートベルトをきちんと締めるようになったことにより、乗車中の事故による歯牙脱臼の頻度は減少傾向にあります。

1-2.歯周病

歯周病の説明図
歯周病は、歯周組織と呼ばれる歯を支えている部分に起こる病気です。
歯周組織は、歯茎・歯根膜・歯槽骨・セメント質という部分で構成されています。歯槽骨とは、歯を支えている骨のことです。ただし、歯と歯槽骨が直接くっついているのではなく、歯根膜という薄い靭帯のような組織を介して繋がっています。なお、歯根膜も歯に直接くっついているわけではなく、歯根の表面のセメント質と言う部分についています。歯根膜がないと歯は歯槽骨から抜けてしまいます。歯根膜が歯をとどめておくために果たしている役割はとても大きいです。
歯周病の原因は細菌です。細菌が歯周組織に炎症を起こすことで歯周病は起こります。そんな歯周病の炎症はまず歯茎から始まります。そして進行していくと、歯を支えている骨である歯槽骨にまで炎症が広がってきます。歯槽骨まで進んでしまいますと、歯を支えることが出来なくなり、次第にグラグラと歯が揺れる様になります。そして、歯の周囲の歯槽骨が全て無くなると、歯は抜けてしまいます。

2.歯が抜けたときの応急処置

歯周病で歯が抜けたときは、まず戻すことは出来ません。しかし、外傷が原因で抜けたときは、戻せる可能性があります。

2-1.抜けた歯

抜けた歯は乾燥させてはなりません。乾燥すれば、歯の周囲についている歯根膜が死んでしまいます。この歯根膜がどれだけしっかりと残っているかが、抜けた歯の予後を左右します。
そこで、生理食塩水があればそれに浸すようにしてください。もし生理食塩水がなければ牛乳に入れてください。そして、歯に砂利がついていても無理に洗わない様にしてください。無理に洗うと歯根膜を剥がしてしまうおそれがあります。

2-2.出血

抜けたところからは出血してきます。ガーゼを噛んで血を止める様にしてください。たいていは数分も噛めば止ってきます。ガーゼがなければティッシュペーパーを硬く丸めたものでも構いません。ただし、抜けた後の穴のなかに突っ込むのはやめてください。
もし、歯以外のところ、たとえば唇ですが、そこから出血している場合は、ガーゼを当てて出血しているところを指で押さえてください。

2-3.欠けた歯の破片

もし、歯も一部欠けてしまった時、その破片が見つかったなら、一緒に持ってきてください。状態によっては、つけることができる場合があります。

3.抜けたままにしておくと

歯が脱臼した時、どれだけ早く対応出来るかで、その歯が残せるかどうかが決まってきます。しかしもし、そのままでおいておくとどうなるのでしょうか。

3-1.完全脱臼

通常の抜歯と同じ過程を経て、傷が治っていきます。つまり、抜けた穴から出血が起こります。この血が固まりかさぶたになって、穴をふさいで治っていくのです。ですので、1日も経つと再び歯をもどすことは出来なくなります。

3-2.不完全脱臼

不完全脱臼の場合、そのままで放置していると、ずれた位置で歯がくっついてしまいます。このとき、たいていの歯はきちんと噛める位置にはありません。
全く噛めないか、もしくは、上下の歯を咬み合わせた時に先に当たってしまう早期接触という状態になります。一度とまってしまうと、その歯の位置に合う様に骨も固まってしまいますので、脱臼する前の状態にもどすことは、とても難しくなります。

3-3.その他

抜けたと思っても、実は根の先が折れて骨の中に残っていることがあります。もし、この状態のままでいると、その部分が化膿して腫れてくることがあります。

4.歯科医院での治療法

まずは、出血の状態を確認します。出血が落ち着いていれば、レントゲンやCTを撮影し、骨の状態や歯の破片がないかなどを確認します。
もし、出血が続いており、かつその出血の原因が、歯以外からの出血であれば、先に止血を行ないます。
例えば、唇が裂けて出血しているのなら、糸で縫って血を止めます。なお、抜歯は5〜7日後になります。
脱臼した歯を残すことが出来る場合は、再び歯をもどします。ここからの過程は完全脱臼か、不完全脱臼かにより異なります。

4-1.完全脱臼

①歯牙の洗浄
完全に抜けてしまった場合、まず抜けた歯を生理食塩水で洗います。このとき、歯根膜を傷めない様に洗浄するのがポイントです。

②局所麻酔
抜けた歯のあったところの周囲の歯茎に局所麻酔の注射をします。麻酔をしないと痛みのために、処置が行なえません。

③異物の有無の確認
歯の抜けた穴を、生理食塩水で洗浄し、異物が入っていないかを確認します。

④抜けた歯の適合状態を確認
抜けた歯をそっと抜けた穴に入れて合わせてみます。合い具合がどうか、かみあわせがどうか、ぐらつかないか、など調べます。

⑤歯の再植と固定
問題がなければ抜けた歯を元の部分に戻します。これを再植といいます。ただ、そのままでは再び抜けてしまいますので、それを防ぐために固定という処置を行ないます。固定とは、抜けた歯とその隣にある歯を数本つなげて、抜けなくする処置のことです。たいていは、線副子とよばれる金属ワイヤーをレジンと呼ばれる接着剤を使って止めます。
なお、固定期間は脱臼した状態によりますが、3〜4週間前後になります。

⑥投薬
感染予防目的に抗菌薬を、痛み止めに鎮痛剤を処方します。

⑦経過観察
ケガをした直後の固定は、血液や浸出液の影響で、とても外れやすいです。外れてしまうと十分な固定が出来ません。しばらくは経過観察のために通院してもらう必要があります。

⑧固定の解除
固定期間が終了すれば、線副子を外します。もし、この時点でまだ歯がグラグラしていても再び固定を行なうことはありません。

⑨経過観察
固定を外した後は、しばらくの間経過観察が必要となります。

4-2.不完全脱臼

不完全脱臼の場合は、歯を元の位置に戻す必要があります。
①局所麻酔
ケガをした歯の周囲の歯茎に局所麻酔の注射をします。

②再植
不完全脱臼をした歯を鉗子でつかみ、優しく動かし、元の位置にもどします。このときに力をかけすぎると、ひびが入っていた場合など、歯が欠けてしまうことがあるので注意が必要です。

③再植状態の確認
噛み合わせ、位置があっているかを確認します。

④固定
元の位置に再植することが出来たら動かない様に固定を行ないます。完全脱臼のときと同じ様に、線副子を用い、隣の歯を数本使って固定します。固定期間は3〜4週間です。

⑤投薬
感染予防のために抗菌薬を、痛みを抑えるために鎮痛剤を処方します。

⑥経過観察
不完全脱臼の場合も血液や浸出液などの影響により固定が外れやすいことがあります。固定がしっかり出来ていないと、ちゃんとしたところにくっつかないこともあります。しばらくの間は、経過観察が必要です。

⑦固定の解除
3〜4週間の固定期間が過ぎれば、一度固定を解除します。

⑧経過観察
固定を解除した後は、経過観察をしばらく続けます。

4-3.歯槽骨骨折

歯が脱臼するほどの外力がお口の周辺にかかった時、歯が脱臼すると同時に、その周囲の歯槽骨が骨折していることがあります。この場合は、折れた歯槽骨も元の位置に戻さなければなりません。これを整復と言います。そして歯と同様、整復した後は、固定する必要があります。
整復固定術は、歯槽骨骨折の状態によって、観血的整復固定術と非観血的整復固定術に分けられます。

4-3-1.観血的整復固定術

観血的整復固定術とは、局所麻酔をした後に、歯槽骨骨折を起こした部分の歯肉を切開・剥離して、折れた部分を見えるような状態にしてから、歯槽骨を元の位置に整復する方法を言います。歯槽骨を整復し、脱臼した歯を再植・固定します。なお、整復した後、切開した部分は糸で縫って傷を閉じます。

4-3-2.非観血的整復固定術

非観血的整復固定術とは、単に歯槽骨を元の位置に整復し、脱臼した歯を再植・固定する方法を言います。

5.歯が抜けないための予防について

外傷による歯の脱臼は、基本的に予期出来ないものですから、予防するのは難しいです。しかし、日常の心がけ次第では、症状を軽めに抑えることも不可能ではありません。

5-1.シートベルト

シートベルトの着用
前席のシートベルトの着用率はとても高くなりましたが、後部座席はまだそうではありません。交通事故時のシートベルトの有無は、歯やお口のあたりの受傷にとても影響してきます。後部座席であってもシートベルトを着用する様にしましょう。

5-2.ヘルメット

バイクに乗車する時、ヘルメットをかぶらないといけませんが、ハーフキャップとフルフェイスのヘルメットでは、事故時の受傷度合いが全く異なります。歯やお口のケガに繋がるのは、大半がハーフキャップタイプのヘルメットです。フルフェイスタイプのヘルメットを使う様にしましょう。

5-3.乳幼児への注意

6歳未満の幼児の受傷は、成人とは少し異なります。受傷の年齢は1〜2歳に多くなります。この年齢は、よちよち歩きで、しかも頭が大きい不安定な体型をしているため、点灯しやすいからです。転倒時にも、顔を守るために手を伸ばす反射がとれないので、顔を直接打つことが多いことも影響しています。
この時期は特に、周囲の大人が注意をしてあげる必要があります。

5-4.スポーツ用マウスピース

マウスピース
格闘系に限らず、たとえば野球でもボールが顔面に当たることで歯が脱臼することがある様に、スポーツをしているとケガをする可能性があります。そこで、マウスピースを作製し、スポーツをしている時にマウスピースを使う様にすれば、歯を打った場合でも歯へのダメージを軽減することが出来ます。

5-5.歯周病の治療

外傷ではないのですが、歯周病による歯の喪失は、実は成年以降の喪失原因のうち最大の割合を占めます。歯周病による歯の喪失は、歯槽骨が吸収してしまうことで、歯を支えきれなくなって歯が抜けてしまいます。外傷とは異なり、歯槽骨が無くなっているために、再植することができません。
そこで、歯周病を早期に治療して、歯槽骨にまで影響が及ぶ前に治しておくことが大切です。歯周病の原因は、細菌にあります。歯の表面には白いカス状のものがついていることがありますが、実はこれがその細菌の塊なのです。これをプラークといいます。歯みがきのCMなどでおなじみのプラークコントロールとは、この細菌を減らすことを意味しています。プラークコントロールの成否が、歯周病の予後に大きく影響します。そのためには、日々の歯みがきをていねいに、かつしっかりおこなうことと、歯科医院で定期的に歯の掃除や歯石の除去を受けることが重要となります。

・歯周病の治療については、以下の記事で詳しく説明しています。
専門家監修|歯周病の進行度を自己チェック!進行別治療方法

まとめ

突然、歯が抜けてしまう原因は、外傷と歯周病がほとんどです。
歯が抜けた場合には、ショックですが、外傷で抜けたのなら元に戻せる可能性もあります。冷静に応急処置をおこない、歯科医院を受診する様にしましょう。
歯周病は、残念ながら元に戻すことはできませんが、日常の歯みがきをしっかり行ない、かつ定期的に歯周病の治療を受け、さらに歯が抜けてしまわない様に予防しておきましょう。

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